日本YA作家クラブ主催トークセッション『訳者の語るロバート・ウェストール』 レポート (梨屋メモ)

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「訳者の語るロバート・ウェストール」第2回 2009年12月19日(土) 18:00開場 18:30開演 ジュンク堂書店新宿店
講師 野沢佳織さん×金原瑞人さん 

 が、開催されました。   

(報告・梨屋アリエ 2009年12月)
転載・引用を禁じます。

第2回 メモ

2009年12月19日(土)
野沢佳織さん×金原瑞人さん

 野沢佳織さんは、英文科の学生でしたが、在学時代は翻訳に興味がなかったそうです。企業に就職し、結婚した後の90年代前半に、パートナーの転勤でイギリスとオーストリアに住むことになりました。お子さんが通うアメリカンインターナショナルスクールの図書室でボランティアをしていたこともあり、絵本や児童書を読むようになったそうです。
 ウェストールを知ったのは、児童書書評誌の追悼記事で、子ども読者からの手紙を読んで、興味を持ったそうです。

 写真の左から、野沢さん、金原さん。

金原さん。  最初に読んだウェストールの作品は何ですか。
野沢さん。  「Gulf」(「弟の戦争」)を読んで、面白かった。それから続けて原書で「機関銃要塞の少年たち」「海辺の王国」「青春のオフサイド」を読みました。そして、いつか文芸翻訳家になって、ウェストールを訳したいと思い、翻訳家を目指しました。

 野沢さんは、ウイーンで、雑誌『翻訳の世界』を読んで、金原さんのことを知ったそうです。金原さんの訳した『かかし』を読み、「日本に帰ったら金原先生の授業をとろう」と考えていたそうです。

金原さん。  翻訳の一作目は何ですか。
野沢さん。  金原先生との共訳で、レイ・ブラッドベリの『バビロン行きの夜行列車』でした。
金原さん。  ウェストールで一番好きなのは?。
野沢さん。  最初に読んだ「Gulf」が強烈な印象でした。どれも好きです。男の子っぽい作品は、読むのは好きだけど、訳すのは難しいと思います。
金原さん。  共訳の『水深五尋』は男の子っぽかったね。『水深五尋』は、ウェストールの中でぼくの一番好きな作品。

 野沢さんは、2004年にウェストールゆかり地タインマスを訪れたそうです。その時のご様子や、後日取り寄せた地元の図書館が編纂した資料を披露してくださいました。
 作品の舞台となった建物や町で触れ合った人たち、言葉のなまりについてなど、お話をしてくださいました。

   

 未訳の短編『Journey』(「旅」)を野沢さんが朗読!!

金原さん。  どうしてこの短編を朗読に選んだの?
野沢さん。  ウェストールは80編以上の短編を書いていて、いろいろなタイプの作品があり、どれも面白いです。今回は、今までに翻訳されていないタイプの作品を選びました。

ウェストールがアンティーク好きなこと、一人称と三人称のこと、晩年はYAの活字離れを憂いてYAを意識して書いていたこと、などなど、お話は続きます。

金原さん。  今までで一番翻訳しづらかった本は?
野沢さん。  スチュアート・ケリー の『ロストブックス』です。文体がウェストールと両極で衒学的な文章。読みにくいし、単語もあまり見かけないもので、比喩もむずかしかった。知性のレベルが作者と違うと感じた。なるべく読者にわかるように訳しました。
金原さん。  訳していて一番楽しかった本は?
野沢さん。  二ール・ゲイマンの『壊れやすいもの』という短編集です。
金原さん。  短編集は、面白いよね。

 そして、会場からの質疑応答と、サイン会。

 お疲れさまでした。楽しいトークセッションでした!  

(12/22一部訂正)

   

「訳者の語るロバート・ウェストール」第1回 2009年12月13日(日) 18:00開場 18:30開演 ジュンク堂書店新宿店
講師 原田勝さん×金原瑞人さん

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