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「日本YA作家クラブ」会報【定期報告便】 2010213日発行

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「日本YA作家クラブ」会員の皆様へ

 

 立春を過ぎ、かわいい梅の花が目に嬉しい今日この頃です。

「日本YA作家クラブ」第三回の会報をお届けいたします。

この会報は、総会の役割を兼ねております。必ず必須事項をご記入の上、

ご返信して下さいますようお願いいたします。

 

 

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★お願い★

最後までお読みになりましたら、下の必要事項を記入して、

このメールに返信してください。

著作リストは、確定している情報をお願いいたします。

ご返信はなるべく十日以内でお願い致します。

 

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1】会員名 

 

2】著作リストの更新 なし / あり (ご記入ください)

 

3】おすすめYAアンケートのリストの更新 (任意)

 

4】新会員の推薦 紹介 (任意)

 

5】第四回会報へのエッセイのご寄稿 可 / 今回はパス

 

6】ご意見、ご要望、ご質問など。

 

 

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━━□ INDEX □━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

◆報告・1、イベント 2、問い合わせ

◆著作リストの更新について

◆おすすめYAアンケートの更新について

◆インタビューのコーナーを作ります

◆会員の募集と告知、情報ブログについて

◆今後の企画について

◆リレーエッセイ。第一回★石崎洋司さん

 

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◆報告・1「日本YA作家クラブ」のイベントについて。(8月以降)

 

20091213日(日)/19日(土)ジュンク堂書店新宿店にて、

日本YA作家クラブ主催「ロバート・ウェストール対談」全二回が

開催されました。

トークセッション『訳者の語るロバート・ウェストール』

第一回の講師は、原田勝氏と金原瑞人氏。

第二回の講師は、野沢佳織氏と金原瑞人氏でした。

作家・作品論から、翻訳という仕事について、もりだくさんの

内容でした。

レポートを、ホームページに掲載しましたので、ご覧ください。

 

 

◆報告・2 クラブへの問い合わせ

 

 財団法人出版文化産業振興財団(JPIC)内「子ども読書の情報館」

事務局から、子どもの読書推進のための情報交換を目的としたサイト

「子ども読書の情報館」との相互リンクのお願いをいただき、

リンクしました。

 

 学校図書館問題研究会(学図研)から会員への講演の依頼をいただき、

該当の会員にお取り次ぎをしました。

 

 個人の方から、『ゴングール賞』について教えてほしいとのメール。

『ゴングール賞』ではなくて『ゴンクール賞』ですよということで、

一件落着しました。

 

 神奈川県内の市立図書館から会員への講演の依頼をいただき、

該当の会員にお取り次ぎをしました。

 

 作品社の編集部から日本YA作家クラブへ献本のお申し出を

いただき、梨屋が受け取り保管しております。

(ロレッタ・エルスワース著、代田亜香子訳『とむらう女』)

 

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◆著作リストの更新について

 

著作リストは年2回(2月/8月)更新いたします。

更新したい項目、付け加えたい情報、訂正などを

お知らせください。新刊の冊数の制限はいたしません。

これまでのリストの掲載情報に関しては、ホームページにて

ご確認ください。

 

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◆おすすめYAアンケートの更新について

 

昨年、会員の皆様にお願いいたしました「おすすめYA」の

アンケートのページを、「YAの本棚」コーナーとしてホームページで

公開しております。差し替えや追加のご希望がございましたら、

2月末までにご連絡ください。

 

アンケート集計後にご入会いただきました新会員のみな様には、

後日、アンケートをお送りいたしますので、ご協力をお願いいたします。

 

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◆インタビューのコーナーを作ります。

 

ホームページに、YA世代や作家や翻訳家を目指す人に向けた

会員へのインタビューコーナーを作ります。

 

予定している五項目。

・どんな中学〜高校時代を過ごしていましたか?

・作家・翻訳家になりたいと思ったのは、いつ頃、どうしてですか?

・最初の本(作品)を出版したきっかけはなんですか?

・一週間だけ中学〜高校時代の自分と入れ替われたら、何をしますか?

・現役のYAな人達へ、熱いメッセージをどうぞ。

 

4月から、令丈ヒロ子さんから逆五十音順に、月に二人ずつ掲載していきます。

 

該当月の会員さんには、メールにてご連絡いたしますので、

ご協力ください。よろしくお願いいたします。

 

 

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◆会員の募集と告知のお願いについて。

 

会員の皆さまにも、「日本YA作家クラブ」の告知のご協力を

お願いします。個人でホームページやブログをお持ちの会員さんは、

『日本YA作家クラブ』へのリンクをご協力お願いいたします。

 

お知り合いの作家や翻訳家に、ホームページに記載されている条件に

合う方がいらっしゃいましたら、当会について、お知らせください

ますようお願いします。また、作品を読んで、ぜひ仲間に! と

思われた書き手のかたにつきましても、情報をお寄せ下さい。

YA作品であれば、児童・一般、文庫・新書・単行本の

しばりはございません。

 

情報ブログについて

「YA情報ブログ」には、YAに関する講演会やサイン会、講座などの情

報を掲載します。会員のYAに関する講演会やサイン会の情報を、

連絡係にお寄せ下さい。YAにかかわるものでしたら、「日本YA

作家クラブ」の関与にかかわらず掲載致しますので、どうぞお気軽に

直接ブログに書き込む場合。

googleのアカウントの登録(無料)をし、「書き込み登録」をすると、

情報がいつでも書き込めます。ご希望の方には、「YA情報ブログ」の

招待メールをお送りしますので、登録したいメールアドレスを明記して、

ご連絡ください。

 

 

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◆今後の企画について

 

※金原瑞人氏の発案で、YAの翻訳家の海外YAトーク第二弾を

予定しています。詳細が決まりましたら、会報の臨時便や

YAブログ等でご案内いたします。

 

 

※梨屋発案のイベント、朗読読書会計画、その後。

「子どもゆめ基金」の助成金を利用する予定でしたが11月の

「事業仕分け」により「子どもゆめ基金」の廃止のニュースが

流れました。これにともない、計画の大幅な変更をすることに

なりました。資金のない日本YA作家クラブは単独開催ができま

せんので、日本YA作家クラブの企画・協力という形で、東京と

大阪のご協力いただける機関で、それぞれ独立したイベントを

行うことにいたします。

 東京の部では、都立図書館(東京都立多摩図書館)と連携した、

中高生向けの朗読読書会ワークショックの計画を進めております。

 大阪の部では、吹田市立図書館で、イベントを検討して

いただいています。

 

 ところで。事業仕分けで廃止となったはずの「子どもゆめ基金」

ですが、12月になって、「平成22年度予算で、ゆめ基金助成事業を

含め、政府予算案として閣議決定された」とのこと。つまり22年度分は

続行するそうです。東京の分は申請書を送付しており、四月の審査の

結果を待つことになりました。

 

 

※「日本YA作家クラブ」への企画、ご提案、アイデアなどが

ございましたら、ぜひご相談ください。

 

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◆リレーエッセイ募集。

 

 第四回会報(8月)に掲載するエッセイを募集します。

 テーマは「YAに関すること」。400字前後〜長文も可。

 7月末までにお寄せいただいたものを第四回会報に掲載いたします。

 会報はホームページ上でも公開されます。

 ※原稿料はお支払いできません。無償でのご協力をお願いいたします。

 

   ( ^^) _~~ φ(..)   

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┃リ┣┫レ┣┫ー┣┫エ┣┫ッ┣┫セ┣┫イ┃

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第一回★石崎洋司さん

 

YAの「偏り」について       石崎洋司   

 

 ついこのあいだ、某作家さんと喫茶店で話していたら、いきなり

「アメリカのYAってつまらないですよね」といわれ、驚愕の余り、

ちょうど口に入れたサンドイッチを喉に詰まらせ、死にかけた。

 こ、これが、「シンクロニシティ」ってやつ? ユングの例だと、

「プディングのシンクロニシティ」だけれど、ぼくがたべていたの

は「パストラミ・サンドイッチ」だから、「パストラミのシンクロ

ニシティ」と命名しよう!

 とまあ、これは寒い冗談だけれど、でも、そのくらい取り乱した

のはほんと。なぜって、これぞユング的「シンクロニシティ」かっ

ていうぐらい、ぼくもほぼ同じようなことを考えていたから。ぼく

の場合はもうすこしネガティブ度が高くて、「最近の日本のYA、

つまんねー。アメリカのYAと同じくらい、つまんねー。なんでだ

ろ?」って感じだけれど。

 で、その前日あたりに、我田引水の理屈を考えついたところだっ

たので、ケーキを食べていた某作家さんにむかって、口角泡を飛ば

してまくしたてた。そして、せっかくだから、日本YA作家クラブ

会報メールでの、記念すべき(?)第一回めのエッセイに、その話

を書こうという企画です!

 ただし、そのときの話は、例によってむだに長かったので、少し

補足しつつ、まとめると……。

 

 翻訳家としても高名な柴田元幸さんが、なにかの本で、アメリカ

文学というのは、伝統的に孤児に惹かれる文学みたいなところがあ

る、と、書いていた。例としてあがっていたのが、フィッツジェラ

ルドの『グレート・ギャツビー』、メルヴィルの『白鯨』、マーク

・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』など。

 おお、いわれてみれば、たしかにその通りだなぁ。ぼくの個人的

の好きなところでいえば、アーヴィングの『サイダーハウス・ルー

ル』とか、オースターの『ミスター・ヴァーディゴ』も、あてはま

りそうだぞ。あ、これは、そのまんま孤児の話じゃん……。

 ともかく、柴田さんによれば、アメリカ文学のこの傾向は、国の

成り立ちと関係があるのだろう、みたいなことが書かれていて、こ

れまた、なるほどねぇと、感心しきり。

 でも、柴田さんの御説で、特に興味を抱いたのは、アメリカ文学

の孤児(あるいは孤児的なる者)には、二つの傾向があるっていう

くだりだ。その二つというのは……。

・社会へ取り込まれることをめざす、求心的な孤児。

・社会に取り込まれまい、離れようとする、遠心的な孤児。

 たとえば、愛する女性を取り戻すために富と名声を築くギャツ

ビーは前者の典型。

 で、ハックは後者。『ハックルベリー・フィンの冒険』では、

「文明化」という英語がsivilizeとミススペルだそうで、それは、

語り手であるハックが文明をきらっている証拠……。

 ほう、ほう、ほう! おもしろい!

 と、ひとりで納得しているうち、ふと気づいた。

 日本のYA、特に、リアリズム系のやつも、孤児文学っぽくね?

 ほら、ティーンズの主人公って、なぜかたいてい親と折り合いが

悪かったり、悪くなったりするし、あるいは「うちの親は理解がな

い」と思ったりもするでしょう(ほんとに理解がない場合もあれば、

主人公が勝手にそう思いこんでる場合もある)。かと思えば、反対

に、親のノー天気ぶりに辟易としてみたり(「ラテン嫁」ならぬ

「ラテン親」というのは、日本のYAではときどき出てきますね)。

 これ、現実の反映なのだろうか? それとも、創作上、必然的に

生まれてしまう「パターン」?

 どっちでもいいけれど、いずれにせよ、これって「疑似孤児」状

態じゃないのかなぁ。

 さらに考えてみると、日本のリアリズムYAでは、主人公を取り

巻く、学校の教師、生徒たち、恋愛対象としてのボーイフレンドや

ガールフレンド、街の人々とかのキャラが、妙に親切だったり、あ

るいは激しくつっけんどんだったり、なかにはとっても危険な人ま

でいる。で、そんな人々に主人公は翻弄されつつっていう展開が多

いでしょ? 

 これも、「孤児がひとり世間の荒波をわたっていくのは大変です」

的展開ともいえるんじゃないかなぁ。

 もしそうだとすると、柴田さんのおっしゃる二つの傾向のうち、

どっちなんだろう?

 そう考えたら、ぼくには、いまの日本のリアリズム系YAも、ア

メリカのリアリズム系YAも、「求心的孤児」文学ばっかりのよう

に思えてならなくなった。

 もちろん、作品を全部読んでるわけではない。だから、あくまで

個人的な感覚。

 それでも、いつも「どこかで社会と折り合っていく」、あるいは

「社会と折り合っていく道すじを見つける場所を見つけた」的結末

のお話が、最近多いような気がする。

 2009年度プリンツ賞受賞作の"The Disreputable History of

Frankie Landau-Banks" (E.Lockhart)を読んだときもそうだった。

お金持ちの全寮制名門私立高校のお話で、設定も一人称語りも、そ

れなりに面白い。ところが、読みながらも、同時に「これ、どっか

で読んだかも」という想いにずっと捕らわれていた。で、ほぼ読み

終わるころに、こう思った。

「これ、設定を日本にしたら、日本人が書いたっていっても通るよ

ね」って。

「なんかつまんないよね」っていう漠然とした感覚。その正体は、

「設定とかストーリーはいろいろでも、結局『求心的孤児』文学っ

ぽいという点で『代わり映えしないよね』っていうことなんじゃな

いか。そんな気がしてならなくなったというわけだ。

 これ、言い方としてかなりきついかもしれない。けれど、自分も

そういうものを書いてきたし、自家中毒のように、自分の書いたも

のがわが身を侵すというのも、物書きにはよくある話。物書きの集

まりの当クラブ内では、わかってもらえると思うのだが。

 それに、どっちがえらいというわけではないし。

 けれど、どちらか一方だけだと、面白くないのも、たしかだ。

『蝿の王』がやっぱり面白いのはなぜか。

 映画『カッコーの巣の上で』のラストシーンは、なんであんなに

も感動的なのか。

「遠心的孤児」っていうのは、やっぱり魅力的だと思う。

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「日本YA作家クラブ」会報 2010213日発行

代表世話人。石崎洋司、金原瑞人、梨屋アリエ、令丈ヒロ子(敬称略五十音順)

 

日本YA作家クラブ

http://jya.iinaa.net/

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連絡係 ありりん